岩崎です。
先週土曜日、10月17日。『キングオブコント2026』の決勝をご覧になった方も多いと思います。
優勝はジェラードン。1本目「酔っ払い」、2本目「マジックバー」で、どちらも671点。合計1342点で、エントリー3445組の頂点に立ちました。2位は蛙亭、3位はヤッホイでした。
(出典:お笑いナタリー、FANY マガジン)
私は普段、岡山で企業のマーケティング支援をしています。お笑いはいち視聴者として好きなだけなのですが、今年の決勝は、観ながら思わずメモを取ってしまいました。「選ばれる」ための原則が、4分間のコントと、その後の優勝会見にぎっしり詰まっていたからです。
この記事では、キングオブコント2026を「マーケティングの教科書」として読み解いてみます。地方の中小企業の経営者・担当者の方に、明日の仕事で使える形でお届けできればと思います。
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今回いちばん唸ったのが、1本目と2本目がまったく同じ671点だったことです。
賞レースでは、1本目で爆発して2本目で失速する、というのはよくある話です。ところがジェラードンは、まったく違うネタで、まったく同じ最高水準を出した。これは「たまたまハマった」のではなく、自分たちの笑いの取り方を、型として持っていることの証明だと思います。
ビジネスに置き換えると、こういうことです。
地方企業のご相談で多いのは、前者のパターンです。「去年のあのチラシは反響があったんだけど、今年同じことをやったらダメだった」。これは、成果が出た”理由”を検証しないまま、”形”だけを真似していることが原因であることがほとんどです。
数字(何件反響があったか)と、理由(なぜその人は反応したのか)。この両方を押さえて初めて、2本目でも同じ点数が出せるようになります。
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もうひとつ印象的だったのが、優勝後の会見で、手持ちのネタの中で一番強いものを2本とも決勝で出し切ったと話していたことです。年明けのツアーで披露するネタの質を心配するほどに、です。
勝負どころで最強のカードを出し惜しみしない。展示会でも、年に一度の大型キャンペーンでも、「本命の訴求は次回に取っておこう」という判断で機会を逃しているケースは、意外と多いものです。
ジェラードンといえば、ボケが2人いる「ダブル大ボケ」の構成と、強烈なキャラクターのビジュアルです。決勝進出が決まったときにも、**「見た目と動きで殴りこみたい」**と意気込みを語っていました。
(出典:秋田魁新報(ORICON NEWS配信))
優勝会見では、かみちぃさんが「自分たちのような芸風で、キングオブコントを獲れるとは思っていなかった」という趣旨のことを話し、それが受け入れられたことを喜んでいました。
ここに、ポジショニングの本質があると思います。
賞レースで勝とうとすると、普通は「審査員に好かれそうな、完成度の高い、万人向けのコント」に寄せたくなります。でもジェラードンは、自分たちの一番の武器(見た目と動き)を丸めず、むしろ研ぎ澄ませた。だから3445組の中でも埋もれず、観た人の頭の中に「あの人たち」として強烈に残った。
地方企業でも同じことが起きています。
好みが分かれることを恐れて角を削ると、結局「どこにでもある会社」になってしまいます。尖りは弱点ではなく、選ばれる理由そのものです。
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意外だったのは、大会の初期から挑戦していたジェラードンが、当初は1回戦・2回戦で敗退が続いていたという話です。
会見でかみちぃさんは、少し笑ってもらえるようになった段階で「ストーリーが足りないのではないか」と考え、最低限の物語を入れるようにした、と振り返っています。そうやって毎年少しずつヒントを拾いながら、何年もかけて頂点にたどり着いた。
これは、マーケティングの改善サイクルそのものです。
大事なのは、「キャラクターの強さ」という武器は捨てずに、足りない要素だけを足したことです。ゼロから作り直したわけではありません。
販促キャンペーンが「やって終わり」になってしまう会社の多くは、2〜3の工程が抜けています。終わったあとに「どこで落ちたのか」を振り返らないので、翌年も同じ場所でつまずく。ジェラードンが毎年持ち帰っていた”ヒント”を、皆さんの会社のキャンペーンは毎回持ち帰れているでしょうか。
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また、「ストーリーを足したら届くようになった」という話は、企業の情報発信にもそのまま当てはまります。機能や実績を並べるだけでは伝わらなかったものが、物語にした途端に伝わる。これについては、当社ブログでも詳しく書いています。
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ジェラードンは、もともとトリオでした。2025年2月にオリジナルメンバーの海野裕二さんが体調不良で脱退し、コンビとして再出発しています。2021年にはトリオで決勝に進出しており、コンビとしては今回が初の決勝でした。
(出典:FANY マガジン、秋田魁新報(ORICON NEWS配信))
会見でかみちぃさんは、自分たちの良さが一番出ていたのはトリオのときだと思う、と率直に語っていました。そのうえで、コンビという今のかたちを作り、結果を出した。
これは、地方の中小企業が直面している現実と重なります。
体制が変わったとき、「前と同じやり方を、少ない人数で無理して続ける」と、だいたい破綻します。必要なのは、今の体制で一番強みが出る勝ち方を、設計し直すことです。人が減ったなら、やることを絞る。得意な人の得意な部分に集中させる。外部の力を借りる部分を決める。
「前のほうが良かった」と認めることは、後ろ向きではありません。それを認めたうえで今のかたちを作り切ることが、次の結果につながります。
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会見でもうひとつ心に残った言葉があります。優勝が決まって涙を見せたアタック西本さんが、その理由として、決勝が終わるまで**「オレたちは主人公じゃない」**と自分に言い聞かせていた、と明かしていました。主人公気分になりすぎると、どこかで必ずミスをすると思っていたそうです。
(出典:FANY マガジン)
マーケティングでも、自社が主人公になった瞬間にミスが起きます。
主人公は、いつもお客様です。自社は、お客様の悩みを解決する脇役であり、舞台装置です。「何ができるか」ではなく「お客様がどう変われるか」を語れているかどうかが、選ばれるかどうかを分けます。
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最後に、少し視点を変えて、大会の設計そのものにも触れておきます。
今年のキングオブコントは、大会史上初の敗者復活戦を実施し、決勝の審査員も7人体制に増やしました。敗者復活戦の審査は、芸人審査員の評価と、視聴者による国民投票を組み合わせる方式です。ここから勝ち上がったスパイシーガーリックが、11組目のファイナリストとして決勝の舞台に立ちました。
(出典:秋田魁新報(ORICON NEWS配信)、FANY マガジン)
マーケティング的に見ると、これは視聴者を「観る側」から「選ぶ側」に変える仕掛けです。自分が投票した組が決勝に上がれば、その組を応援しながら観る。結果に自分が関わっているから、熱量が上がる。
さらに、決勝のあとは東京・福岡・大阪の3都市で『キングオブコント2026LIVE』の開催も発表されています。テレビで生まれた熱を、リアルな接点へとつなぐ導線まで用意されているわけです。
これは地方企業の販促にも応用できます。
お客様を「参加者」にした瞬間、宣伝は「自分ごと」に変わります。
また、大会名が「求人ボックス presents」となっているように、こうした国民的イベントには必ずスポンサー企業がいます。大きなイベントに協賛することの効果については、こちらの記事で整理しています。
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キングオブコントから学んだことを、自社に当てはめて確認してみてください。
3445組がエントリーする大会で、最後に選ばれたのは、自分たちの尖りを捨てず、毎年改善を積み上げ、体制が変わっても勝ち方を作り直したコンビでした。
地方の商圏で、数多くの同業や代替手段の中から選ばれるために必要なことも、本質的には変わりません。一発のヒットを狙うより、自分たちらしい勝ち方を型にして、何度でも同じ点数を出せるようにすること。そのために、毎回ちゃんと振り返ること。
土曜の夜に笑わせてもらいながら、改めてそんなことを考えていました。ジェラードンのお二人、本当におめでとうございます。
顧客戦略に基づいたプロモーション全体の設計を仕事にしています。市場調査・データ分析から、広告・Web・SNS、そしてイベントの企画・運営や、バルーン・VRを使ったエンターテインメント演出まで、「選ばれる仕組み」づくりをトータルでお手伝いしています。「うちの会社の”尖り”って何だろう」とお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
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