2025.11.11
ブランディングに欠かせない「タグライン」とは?

ブランディングを始めたいけれど、何から着手すればいいのかわからない──そんな悩みを抱える中小企業の担当者は多いものです。
実は、その第一歩として最も重要なのが「タグライン」です。タグラインは、企業の想いや価値を一言で伝える“ブランドの旗印”のような存在。

この記事では、タグラインの基本から、実際に成果を生む作り方までを、専門的でありながら初心者にもわかりやすく解説します。


タグラインとは何かを正しく理解する

タグラインの定義と役割

タグラインとは、企業の理念や提供価値を端的に表現したフレーズのことです。
たとえば、トヨタの「Start Your Impossible」やサントリーの「水と生きる」は、単なるスローガンではなく、「企業の存在意義」そのものを言葉にしています。

タグラインは広告コピーのように短期的な訴求を目的とするものではなく、長期的に使われる“企業の指針”を示す言葉です。

キャッチコピーとの違い

キャッチコピーは「商品」や「キャンペーン」ごとに変わりますが、タグラインは「企業の根幹」に紐づく言葉として、ブランドを長く支え続けます。
たとえば、カルピスの「カラダにピース」は、製品の魅力を超え、「ブランドが届けたい幸福感」そのものを短い言葉で表しています。

タグラインは、単なる宣伝文句ではなく、企業と顧客の関係性を象徴する“約束の言葉”です。

タグラインがブランディングの軸になる理由

広告、SNS、採用、営業など、さまざまな場面で“言葉の方向性”がズレると、顧客には一貫したイメージが伝わりません。
タグラインは、そのズレを防ぎ、全ての発信を一本の線でつなぐ「ブランドの軸」になります。

つまり、ブランディングにおいてタグラインは、見た目のデザインよりも先に決めるべき“言葉の設計図”なのです。


なぜ今、中小企業にタグラインが必要なのか

差別化が難しい時代の「旗印」として

今はどの業界も競合が多く、「何をしている会社か」よりも、「どんな想いでその事業をしているか」が選ばれる時代です。
タグラインは、その“想い”を短く伝えるための旗印です。
顧客にとっての「共感」や「信頼」を呼び起こすきっかけになります。

広告やSNSよりも先に“言葉”を決める重要性

多くの企業が「とりあえずSNSを始める」「とりあえず広告を出す」といった発信からスタートします。
しかし、ブランドとして何を伝えたいのかが決まっていないと、発信がバラバラになってしまいます。
タグラインを先に定めることで、すべてのメッセージが一貫し、発信の効果が格段に高まります。

経営理念やビジョンを“伝わる言葉”に変える

企業理念を掲げていても、「理念が立派すぎて現場や顧客に響かない」というケースは多くあります。
タグラインは、理念を現実の言葉に翻訳し、社内外に伝える“通訳”のような役割を果たします。
理念と日々の行動をつなぐことこそ、ブランディングの出発点です。


強いタグラインに共通する3つの条件

① 誰にでもわかるシンプルさ

良いタグラインは、誰が読んでもすぐに意味がわかることが大前提です。
「短いのに深い」──これが理想形。
説明的な文章ではなく、一言で“約束”を伝えることを意識しましょう。

たとえば、「未来を変える力を、あなたに。」のように、顧客の変化を想起させる表現が効果的です。

② 企業らしさを内側から掘り起こす

強いタグラインは、外部の流行からではなく、“企業の内側”から生まれます。
自社の文化、理念、顧客との関係性を見つめ直し、「うちの会社らしい言葉」を掘り出すことが重要です。

社員が日々大切にしている価値観や、顧客から感謝される場面をヒントにすると、自然と“らしさ”が滲み出た言葉になります。

③ 顧客にとっての「意味」を明確にする

企業が言いたいことよりも、「顧客がどう感じるか」を軸に言葉を選びましょう。
タグラインは、企業目線ではなく顧客目線の“意味”を届けるための言葉です。

たとえば、「〇〇を提供します」ではなく、「〇〇であなたを支える」といった未来志向の表現にすることで、顧客の心に届きます。


タグラインがもたらす3つのビジネス効果

  1. 社内の意識統一が進む
     タグラインを掲げることで、社員一人ひとりの判断基準が明確になり、行動に一貫性が生まれます。
  2. 広告・SNSなどのメッセージが統合される
     どの制作会社に発注しても“ブランドトーン”がブレず、全施策が同じ方向を向くようになります。
  3. 採用・営業・広報など全社的にブランド力が上がる
     顧客や取引先、求職者に対しても、企業としての印象が統一され、「信頼される会社」へと変わります。

効果的なタグラインを作るための実践プロセス

ステップ① ブランドの現状を可視化する

まずは、自社の現状を整理することから始めましょう。
顧客・社員・競合の3つを比較し、「自社が選ばれている理由」を把握します。
この分析が曖昧なままでは、良いタグラインは生まれません。

ステップ② ブランドの核を言語化する

次に、自社が持つ強みや価値を“お客様の変化”として表現します。
「何ができるか」よりも、「お客様の生活や気持ちがどう変わるか」に焦点を当てることがポイントです。

ステップ③ 候補を作り、検証する

3〜5案のタグラインを出し、社員や顧客の反応を見てブラッシュアップします。
また、WebサイトやSNSに実際に置いたときの“響き方”を確認するのも有効です。


有名企業のタグラインから学ぶ成功のパターン

トヨタ「Start Your Impossible」

トヨタは“モビリティを通じて人の可能性を広げる”という理念を、たった4語に凝縮しました。
社員にも顧客にも誇りを与える、グローバルブランドならではの強い言葉です。

サントリー「水と生きる」

サントリーは、企業活動の原点である“水”をテーマに掲げ、環境保全や企業姿勢を象徴する言葉にしました。
企業理念を社会との約束に変える代表的な例です。

カルピス「カラダにピース」

カルピスは、飲料を通して「心と体のやすらぎ」を届けるという想いを、やさしくポジティブな言葉で表現しています。
日常に寄り添うブランドとして、共感を生むタグラインの好例です。


中小企業が陥りがちなタグラインづくりの落とし穴

  • 理念とタグラインが分離してしまう
     理念は立派でも、外に出す言葉がそれを反映していなければ意味がありません。
  • キャッチコピーのように「売り文句化」してしまう
     タグラインは短期訴求ではなく、長期的に育てる“企業の約束”です。

  • 社内に浸透せず「掲げただけ」で終わる
     策定後、社員の共感を得る浸透プロセスが欠かせません。
     社内ワークショップや日常的な共有が大切です。


IWOが提案する「タグライン起点のブランディング設計」

IWOでは、顧客が感じる“価値”を軸に、企業の“勝ち方”を導き出す独自メソッド「価値×勝ちパターン」を用いてタグラインを設計します。

顧客インタビューや競合分析を行い、「自社らしさ」を抽出したうえで、短く力強い言葉へと凝縮。
経営者・社員・顧客の三方向から見てブレのないブランドを実現します。

さらに、策定後の活用までをサポート。
WebサイトやSNS、広告コピーなど、すべての発信で統一感を持たせる設計を行います。
中小企業でも実践可能な“現場主導のブランディング”が特長です。


まとめ

タグラインは、企業の存在意義を一言で示す“最初の戦略”です。
中小企業こそ、自社の価値を言葉にすることで、広告やデザイン以上の力を発揮します。

「自社らしい言葉が見つからない」「理念をどう発信していいか分からない」──そんなときこそ、専門家の視点を取り入れてみてください。

あなたの会社の“想い”を言葉にし、ブランドの軸をつくるお手伝いをします。
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