ブランディングを始めたいけれど、何から着手すればいいのかわからない──そんな悩みを抱える中小企業の担当者は多いものです。 実は、その第一歩として最も重要なのが「タグライン」です。タグラインは、企業の想いや価値を一言で伝える“ブランドの旗印”のような存在。
この記事では、タグラインの基本から、実際に成果を生む作り方までを、専門的でありながら初心者にもわかりやすく解説します。
タグラインとは、企業の理念や提供価値を端的に表現したフレーズのことです。 たとえば、トヨタの「Start Your Impossible」やサントリーの「水と生きる」は、単なるスローガンではなく、「企業の存在意義」そのものを言葉にしています。
タグラインは広告コピーのように短期的な訴求を目的とするものではなく、長期的に使われる“企業の指針”を示す言葉です。
キャッチコピーは「商品」や「キャンペーン」ごとに変わりますが、タグラインは「企業の根幹」に紐づく言葉として、ブランドを長く支え続けます。 たとえば、カルピスの「カラダにピース」は、製品の魅力を超え、「ブランドが届けたい幸福感」そのものを短い言葉で表しています。
タグラインは、単なる宣伝文句ではなく、企業と顧客の関係性を象徴する“約束の言葉”です。
広告、SNS、採用、営業など、さまざまな場面で“言葉の方向性”がズレると、顧客には一貫したイメージが伝わりません。 タグラインは、そのズレを防ぎ、全ての発信を一本の線でつなぐ「ブランドの軸」になります。
つまり、ブランディングにおいてタグラインは、見た目のデザインよりも先に決めるべき“言葉の設計図”なのです。
今はどの業界も競合が多く、「何をしている会社か」よりも、「どんな想いでその事業をしているか」が選ばれる時代です。 タグラインは、その“想い”を短く伝えるための旗印です。 顧客にとっての「共感」や「信頼」を呼び起こすきっかけになります。
多くの企業が「とりあえずSNSを始める」「とりあえず広告を出す」といった発信からスタートします。 しかし、ブランドとして何を伝えたいのかが決まっていないと、発信がバラバラになってしまいます。 タグラインを先に定めることで、すべてのメッセージが一貫し、発信の効果が格段に高まります。
企業理念を掲げていても、「理念が立派すぎて現場や顧客に響かない」というケースは多くあります。 タグラインは、理念を現実の言葉に翻訳し、社内外に伝える“通訳”のような役割を果たします。 理念と日々の行動をつなぐことこそ、ブランディングの出発点です。
良いタグラインは、誰が読んでもすぐに意味がわかることが大前提です。 「短いのに深い」──これが理想形。 説明的な文章ではなく、一言で“約束”を伝えることを意識しましょう。
たとえば、「未来を変える力を、あなたに。」のように、顧客の変化を想起させる表現が効果的です。
強いタグラインは、外部の流行からではなく、“企業の内側”から生まれます。 自社の文化、理念、顧客との関係性を見つめ直し、「うちの会社らしい言葉」を掘り出すことが重要です。
社員が日々大切にしている価値観や、顧客から感謝される場面をヒントにすると、自然と“らしさ”が滲み出た言葉になります。
企業が言いたいことよりも、「顧客がどう感じるか」を軸に言葉を選びましょう。 タグラインは、企業目線ではなく顧客目線の“意味”を届けるための言葉です。
たとえば、「〇〇を提供します」ではなく、「〇〇であなたを支える」といった未来志向の表現にすることで、顧客の心に届きます。
まずは、自社の現状を整理することから始めましょう。 顧客・社員・競合の3つを比較し、「自社が選ばれている理由」を把握します。 この分析が曖昧なままでは、良いタグラインは生まれません。
次に、自社が持つ強みや価値を“お客様の変化”として表現します。 「何ができるか」よりも、「お客様の生活や気持ちがどう変わるか」に焦点を当てることがポイントです。
3〜5案のタグラインを出し、社員や顧客の反応を見てブラッシュアップします。 また、WebサイトやSNSに実際に置いたときの“響き方”を確認するのも有効です。
トヨタは“モビリティを通じて人の可能性を広げる”という理念を、たった4語に凝縮しました。 社員にも顧客にも誇りを与える、グローバルブランドならではの強い言葉です。
サントリーは、企業活動の原点である“水”をテーマに掲げ、環境保全や企業姿勢を象徴する言葉にしました。 企業理念を社会との約束に変える代表的な例です。
カルピスは、飲料を通して「心と体のやすらぎ」を届けるという想いを、やさしくポジティブな言葉で表現しています。 日常に寄り添うブランドとして、共感を生むタグラインの好例です。
キャッチコピーのように「売り文句化」してしまう タグラインは短期訴求ではなく、長期的に育てる“企業の約束”です。
社内に浸透せず「掲げただけ」で終わる 策定後、社員の共感を得る浸透プロセスが欠かせません。 社内ワークショップや日常的な共有が大切です。
IWOでは、顧客が感じる“価値”を軸に、企業の“勝ち方”を導き出す独自メソッド「価値×勝ちパターン」を用いてタグラインを設計します。
顧客インタビューや競合分析を行い、「自社らしさ」を抽出したうえで、短く力強い言葉へと凝縮。 経営者・社員・顧客の三方向から見てブレのないブランドを実現します。
さらに、策定後の活用までをサポート。 WebサイトやSNS、広告コピーなど、すべての発信で統一感を持たせる設計を行います。 中小企業でも実践可能な“現場主導のブランディング”が特長です。
タグラインは、企業の存在意義を一言で示す“最初の戦略”です。 中小企業こそ、自社の価値を言葉にすることで、広告やデザイン以上の力を発揮します。
「自社らしい言葉が見つからない」「理念をどう発信していいか分からない」──そんなときこそ、専門家の視点を取り入れてみてください。
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